災害用トイレ車 〜災害時に安全、快適に使える洋式・水洗トイレ〜
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日本トイレ研究所 T:03-3580-7487 F:03-3580-7176 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-7 第2 文成ビル3F
<仮設トイレの弱点を克服>
災害時、上下水道が止まってしまった時に用意される仮設トイレは、「和式である」、「段差がある」、「貯留槽がすぐに満杯になってしまう」、「汚くて使いたくない」、「寒いので使いたくない」、「くさい」など、多くの課題を抱えています。
こうした理由から、避難所ではトイレに行く回数を減らすために水分を控えてしまい、その結果、エコノミークラス症候群などの健康障害を起こすことが、新潟県中越地震、中越沖地震などで大きな社会問題となりました。
これらの問題を解決する災害用トイレとして、国土交通省北陸地方整備局北陸技術事務所は、災害用トイレ車を開発しました。
本トイレ車の特徴は以下のとおりです。なお、多目的トイレ1ブースと普通トイレブースを、ご要望に応じて組み合わせることが可能です。
@多目的ブースはバリアフリー対応で、車イスや親子連れにも使いやすい
A飛行機などで使われている吸引式水洗トイレなので、少量の水で臭いもなく、快適に使用可能です。
Bマンホールに接続して利用することもでき、また、内蔵するタンクにし尿を一時貯留することもできます
C4tトラックに積んでどこへでも簡単に運べます
2007年7月に発生した新潟県中越沖地震の際には、災害発生後、その日のうちに現地に到着し、要援護者の割合が高い福祉施設で利用され、大いに役立ちました。
災害時こそ、高齢者・障害者が使いやすい多目的トイレが必要です。
便器洗浄の仕組み
本トイレは、飛行機や新幹線等で使用されている「吸引式水洗トイレ」を採用しています。これにより、1回あたり400cc水で洗浄することを可能にしました。
また、水洗であるため、衛生面や臭気の問題がクリアされ、一般的な仮設トイレのイメージを大きくかえました。(洗浄水と一緒にし尿を一気に吸い込むため、一定程度周囲の臭気も吸引されます)
洗浄のための給水タンクと汚水タンクは、車両中央部にあるタンク室に収められており、給水タンク300L、汚水タンク600Lにより、約900回の連続利用が可能です。
また、汚水タンクに溜まったし尿はバキューム車で汲み取ることも、マンホールに直接流し込むことも可能です。
多目的ブースの特徴
トラックからコンテナを降ろすことにより、入口にスロープを取り付けて、車イスで利用することができます。
また、段差を苦手とする方もアプローチしやすい作りになっています。また、入口から便器までの移動がしやすいよう、
壁面に沿って歩行補助のための手すりを設置しています。
<フィッティングボード>
折りたたみ式のフィッティングボード(着替え台)を設置。床が汚れていても、安心して着替えることが可能です。(避難所では着替えスペースの確保も重要です。)
<ベビーチェア>
図の右下コーナーには、ベビーチェアが装備されており、小さいお子様連れの場合にも安心して利用しやすい環境を整えてあります。(乳幼児に限らず、親子で入れるトイレは重宝されます。)
<介助用ベッド>
図の左上には、折りたたみ式の介助用ベッドがありますので、オムツ替えなどにも活用できます。
<手洗い用ハンドジェル>
手洗いについては、速乾性のハンドジェルを装備してあります。また、ペーパー、水洗ボタン、紙巻器は、JIS規格に準拠した配置としました。
個室ブースの特徴
多目的ブース同様にすべてのブースに折りたたみ式フィッティングボード(着替え台)が設置されているため、
着替えをすることが可能です。手洗い用ハンドジェルを装備し、ペーパー、水洗ボタン、紙巻機についてはJIS規
格に準拠した配置としています。床面に排水溝がもうけてあり、水洗い清掃が可能です。
移動手段など
各室内照明やポンプ等設備の稼働に必要な電力は、発電機、または一般の商用電力からの供給も対応が可能です。また、本トイレは発電装置を搭載しているため、電力設備がない場所でも使用することができます。
<移動手段>
4tトラックにより輸送します(車両本体は別料金体系)。トイレコンテナに備え付けられた昇降装置で、自力で持ち上がることができますので、クレーンがなくても平ボディーのトラックに載せることが可能です。
本トイレは、分割してそれぞれのブース毎に輸送することもできます。多目的トイレブース以外は、ヘリコプターによる輸送も可能です。ただし、分割して使用する際は、別途、給水・汚水タンクを取り付ける必要があります。